歩いてしか行けない温泉、湯俣温泉へ。
一般車両は七倉山荘までしか入れないので山荘前の駐車場に車を置いた。
七倉から先は東京電力管理の専用道路でゲートと監視所がある。
関係者以外は特定タクシーのみ通行可能、アルピコ交通のワゴンタクシーで高瀬ダムへ。
客は私1人、運賃2340円なり。
高瀬ダムから湯俣温泉まで片道10kmのハイキング、高低差はほとんどないのでいつもの山歩きよりは気楽である。
高瀬トンネル、わもり沢トンネルと続いてくぐり、ダム湖に沿って歩く。
高瀬第5発電所、タービンが回る音が響いていた。
湖面はグリーンで花崗岩や硫黄成分によるもの。
振り返ると遠くに湖岸が真っ白な部分がある、不動沢と濁沢の崩壊で流出してくる砂が堆積した部分。
車道終点は駐車場になっていて数台の関係車両が置かれていた。
ここからは登山道になる。
よく整備されていて歩きやすい道がほとんど。
高瀬川の川幅が狭くなって流木が目立つ。
高瀬ダムから2時間強、11時前に湯俣に到着。
山麓側の湯俣山荘は休業中で工事関係者の宿舎として使用中、車道終点から高瀬川に工事道路が造られて湯俣まで重機が入り護岸工事をしていた。
対岸には晴嵐荘、帰りに寄ることにして更に上流を目指す。
東電取水口の後ろを通過。
水俣川を吊り橋で渡る。
湯俣川の右岸に出て上流を見ると湯気が上がっている。
数人の登山者が自分で川の水を湯溜まりに取り入れて入浴していた。
対岸には玉ねぎ状の物体がある、これが高瀬渓谷の噴湯丘と球状石灰石として天然記念物に指定されている。
噴湯丘を間近に見るには湯俣川を渡らなければならないが流れが急で渡渉点を見出せない。
上流へ歩く、途中至る所で熱湯が噴き出している、むやみに手を浸けると火傷する。
少し川幅が広がっていて水の勢いが弱くなっている場所を見つけたので渡渉点とした。
渡渉を前提にズボンは膝から下を外せるタイプを履いてきた、サンダルに履き替える。
水流が強く、少しずつ確実に渡る、川の水は冷たい。
思ったより水深があり膝上まで水に浸かるも何とか渡った。
噴湯丘は目の前で見ると大きい、私の背よりも高い。
足元からは熱湯が絶え間なく流れる。
下流方向、湯気が立ち込める。
こちらは少し上流にある古い噴湯丘で熱湯は出ていない。
河原にはピンクの部分がある、これも噴湯丘と同じで温泉水中の溶解物が長い年月をかけて堆積したもの。
再度湯俣川を渡渉して右岸の河原で昼食後晴嵐荘へ向かう。
晴嵐荘へは高瀬川を渡らなければならないが、高瀬川が2筋に分かれていて右岸側は吊橋が流されてしまったのでまた渡渉。
中洲から左岸へは吊橋を渡る。
晴嵐荘到着。
小屋の主人に日帰り入浴できるか尋ねる、時間が早すぎたようだがちょっと思案したあと「どうぞ」とのことで一番風呂。
良かった、ここで断られたら来た意味が無い。
浴槽は3.4人入るといっぱいだがそこへ源泉が注がれている。
やや白濁した単純硫化水素泉、いかにも温泉という湯の香り。
少し熱いがゆっくり浸かる。
ここまで来て良かった。
13時晴嵐荘をあとにする。
15時過ぎ高瀬ダムに戻ってきた、タクシー運転手に烏帽子方面から降りて来た登山者がいるので一緒にどうですか?と聞かれた。
このあと不動沢側へ行きたいからと断る。
濁沢に掛かっていた橋が前日流されたのと、登山地図にテント指定地のマークがあるがあまり情報がないのでいったいどういうテント場なのか気になっていたのだ。
高瀬ダムの堰堤を渡り不動トンネルへ。
歩道があるので歩きやすい、トンネルを出ると不動沢を吊橋で渡る。
上流方向、崩落した白い砂が流れて来ている。
渡り終えた所が濁沢テント場。
管理小屋があって利用禁止の掲示、管理人はいない。
水場もトイレも無かった。
今はテント場としては利用できないようだ。
砂地を歩いて濁沢へ、流出した橋は丸太で修復されて通れるようになっていた。
濁沢の上流は滝になっている。
来た道を戻る。
不動沢橋からダム湖方向をを見ると砂をダンプに載せて排出作業中、この砂が高瀬ダムの堆砂を加速させているので積み出している。
不動トンネル不動沢側坑口、トンネルを覆うゲートが付属している。
説明書きを見るとゲートが閉まっているときでも横のハシゴを登ってトンネルに入れる。
不動トンネルに入ろうとしたら20台以上ダンプが出てきた。
トンネルを歩いていると更にダンプが来る、歩行者がいるとウインカーを出して後続のダンプに知らせる決まりのようだ。
トンネルを出て堰堤からダム湖上流を見る。
堰堤中央にいたタクシーで七倉に戻った。
下流の七倉ダムに寄り道、七倉山荘前の駐車場が満車の場合はここに車を置く。
タクシー運転手から大町温泉の薬師の湯の割引券をもらったので薬師の湯で汗を流して家に戻ってきた。